メタボリック症候群と頚動脈エコー
最近ではメタボリック症候群という言葉もすっかり定着した感があります。具体的には高血圧、高脂血症、高血糖、肥満といった要因が重なることによって動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞の危険性が高まる状態を指します。また、動脈硬化は喫煙によっても進行します。 動脈硬化の程度を知るためには以前は眼底検査がよく行われていました。最近では診断機器が進歩したこと、また身体に影響がほとんどなく検査時間も短い(10〜15分程度)ことから、頚動脈をエコーで調べる検査が普及しています。 動脈硬化が進んでくると動脈の内側にコレステロールが沈着して厚くなってきます。この検査では超音波を用いて血管の断面を観察し、血管の内側が厚くなっていないか調べます。壁の内側が厚くなっていれば動脈硬化が疑われます。先に挙げた動脈硬化の危険因子(高血圧、高脂血症、高血糖、肥満、喫煙)をお持ちの場合、適切な治療が必要な状態と考えることができます。 また、極度に厚くなっている場合は脳へ送られる血液が不足したり、また一部がちぎれ脳梗塞の原因となる可能性もあるため、専門施設でよりくわしく調べる必要があります。 詳しくお知りになりたい方や、検査ご希望の方は受付または診察室で声をおかけください。 |
なぜ血圧が高いといけないのか
血圧は少々高くてもなかなか自覚症状が出ないので、そのままにしておく人がいらっしゃいます。血圧が高い状態が長い間続くと血管障害が進んで、脳卒中や心筋梗塞といった命にかかわる病気を引き起こす危険性が高くなるのが一番の問題です。また脳卒中にならなくても症状のない小さな脳梗塞がたくさん生じることにより、認知症が進行することもあります(「脳血管性認知症」と呼ばれます)。 また、高血圧によって脳だけでなく心臓や眼底、腎臓といった臓器が障害を受ける危険性があります。こうした臓器への障害もあまり自覚症状がないため、相当悪くなってから発見される方もよく見かけますが、こうなってしまうと日常生活に支障が出る場合が多く、大きな負担となります。 高血圧と言われた場合多くは「本態性高血圧」と呼ばれる病気ですが、中には腎臓や副腎、甲状腺などの病気により血圧が異常に上がっている場合もあります。血圧が高いのをそのままにしておくと、こういった病気を見逃すことにもなりかねません。 最近「寝たきり老人」の問題が話題となっていますが、「寝たきり」になる原因の約半数が脳卒中や脳血管性認知症といった、高血圧と関係の深い病気によるものです。高血圧を予防、あるいはきちんと治療することは長生きするだけでなく「寝たきり」を防いで元気に暮らすために大事なことといえます。 |
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